山型食パン

Mへ〜
 家の前の道路、街路樹のトウカエデの葉の色はそろそろ色付いてくるのかな。ぽけ〜と見ながら月曜の朝のゴミ出しにと、袋をぶら下げてる私の少し前に22才の背中を見た。
 「おめでとう・・22才になったんだね」幾分頼りなげには見えるんだけれど、そうして仕事へと駅に向かう後姿はもうやっぱり22才なんだね。
 この家の前の街路樹が紅葉しだした頃、高校生の時の君の背中を思い出すわ。行きたかったデザインを履修出来る高校ではなく、普通科に行き、あの頃は何となく向かっていく先が混沌としていたよね。「いってきまーす」「いってらっしゃーい」何度となく繰り返していたね。
 高校の時は勿論髪を染めるなんてしてはいけないことだったけど、染めてしまって当然黒く戻すように指導されて・・・そんな繰り返しをしてたっけ。柔らかに風に揺れる困ったその髪の色が街路樹の葉と同じように、透明な風に気持ちよさそうでダメなのに・・・と思いながらも、しっかり君の若さを覚えている。
 ・・・・・学校を停学になったときがあったね。初めての体験をさせてもらったわよ、もういい加減にして!と思った気持ちを静めてくれたことを思い出す。生徒指導の先生に嫌われないでよ〜なんて勝手に思ってた時、君が先生のことを悪く言ったので「そんなこと言っちゃダメじゃない」とたしなめるとぽつりーと、「お前も最低だけど、お前のお母さんも最低だなぁって嫌な顔で言った・・・。思い切ってにらんでやった。ぶんなぐりたかったけど・・」そう、そんなところで小さくもハハをかばってくれたんだね。って、変に嬉しかったりしたことを思い出した朝でした。