レーズン入りライ麦食パン

レーズン入りライ麦食パン



 火曜日の朝リビングで見ていたテレビの画面がふっと自然に消えました。えっ?! いろいろ触っては見ましたがもううんともすんともスイッチさえ入りそうにありません。
 これまで当たり前のように電源をオンにすれば見えていた画面がもう現われてはくれません。最近では画面右上にアナログの文字が付き「もうあなたとはお別れなのね」とは薄々分かってはいたものの、こちらからもういいよと言うよりも前にあなたの方から突然にその時を連れて来たようです。
 さて、Kさんが帰宅してからはこのテレビを買った頃のことをなぜか思い出そうと、記憶を辿っていたんです。いつ買ったのか最初は二人の記憶があいまいで、忘れてしまうもんだねと思ってはいたものの、一つ二つと記憶の断片が浮かんできてはそうだわそうだったわ・・・などと、記憶の点が繋がってだんだんとその頃が思い出せるものなのですね。
 このテレビを買ったお店、リビングに置いた場所、その周りのちょっとした雰囲気、Kさんの勤務先、わたしのパート先、子供たちの様子等・・頭の中にはあるのだろういつもは開けない引出しからポロポロっと過ぎた日のかけらが出てきては二人で思い出すことをちょっと楽しんでいたりしたのでした。
 購入した当初は大きくて立派で誇らしかったその姿も今では老兵どこへ行くのやら。長い間このリビングで私たちを楽しませてくれたのではありますが、実のところ、家族をじっと見てきたのでしょうね、お疲れ様でしたね。