まぼろしの翼とともに

桜舞う日の草薙隊の碑

 夜更けの更新、もうすぐ深夜の1時・・、こんな時間は避けたい、早く寝なきゃなとは思いつつも明日が出勤日じゃない日となると、自由時間に酔いたい気分。いけません。リビングのソファには仕事帰りにお医者さんへ行ってきた末っ子が歯ぎしりしながら寝入っています。昨日の夕方酷く辛そうで、お医者さんにも行かず突っ伏していたという感じで、今日はその不調のまま仕事に行って、仕事が終わって漸く先生に診てもらおうということになったようです。インフルエンザではなかったようで一安心です。一応食中毒の検査もしたらしい、原因はわたしから見ると過労じゃないのって思ったりしますが。少しずつのしんどい積み重ねがたまにドッと来るんじゃないかしら。もう少し楽な(言い方が変だけど)違うところでお仕事できたらいいのにと言う親心。またまた親心としては、仕事運が無いよな・・などと悲観的にも思ったり。本人はさほどでもないのなら取り越し苦労だけど。
 昨日は近くの小学校の入学式があったらしい。朝家の近くでは数組の親子ががやがや集まっていました。お父さん、お母さんと揃って入学式に行くのは当たり前な感じなんですかね。この家に引っ越して来た時に、生まれて少し経ったくらいな赤ちゃんだった子たちが小学生になるんだなぁ。この家に越してきて6年目のわたしなのだ。
 午前中にはそんなに雨も降らず、少し肌寒くやさしい風は、散り初めの桜の花びらを降らせて、いい入学式の日になったのではないのかな。午後からは雨が止んだり降ってきたり、友だちと瀬戸に出かけて、車から降りる時は傘を持って行こうかどうかかなり迷ってしまいました。

 このお店の健康ランチが食べたくて瀬戸に行こうねと決めました。お家のご飯のような野菜がいろいろ入っている、おふくろの味のする嬉しいご飯です。ご飯茶碗もお味噌汁の茶碗も手にいい感じでなじんで、ご飯共々素朴な器もほっこりするのです。

 コーヒーも付けてみました。500円の健康ランチには150円でコーヒーがいただけるので。小さい声で「1回飲んでみようか」コーヒーはやはりそれなりの美味しさでしたから、次はないかもしれません。「1回飲んでみないと分からないもんね・・」と言いつつ頷き合っていたのでした。
 曇り空ながら桜が風に舞う風情はたまりません。並木のあるところで車を止めて写真を撮るわたしをよそに、舞い散る桜をことのほか朗らかに手を伸ばしておどけていた友だち、意外な一面を見た気がしました。乙女のようだな、純粋、いくつになってもこうでなくちゃね。わたしの先を行く先輩の彼女、何かと苦労もあるはずだけど、そんなに上には見えないのはこんな明るさを持ち合わせているからのなのだろう。
 彼女にサヨナラして、その後買い物を済ませての帰り道。桜を観たくて車を止めたとあるところ。なんとなんと!よく見ると、ここは!先週の新聞で読んでものすごく気になって絶対行きたいと思っていたところだったのです。

 桜のじゅうたんに包まれたところにあるのは、太平洋戦争での神風特攻隊草薙隊の「草薙隊の碑」が祀られているところでした。先日テレビで観た永遠の0から、その当時の特攻隊のことは心にずしんと来ていたのです。特攻隊は九州の方の話と思っていましたが、ここ豊田からも名古屋海軍航空隊が編成し、沖縄出撃で63人が命を落としたと記事にありました。
 この碑の前で手を合わせていらっしゃる方がみえたので、少しお話をしました。ここは飛行場があって、今は大きな道路が出来ていますがそこが滑走路だったんです、と教えてもらいました。70年前どんな思いで遺書を書いたのか、若い青年たちが命を落として行った。今はスーパーがあって温泉があってのどかな素敵な建物が立っている場所になっているのですね。
 昭和20年4月に特攻隊として旅立った隊員たちをしのぶ慰霊祭が、毎年4月の第2日曜日にあったと言います。それが今年で最後になるらしいのです。あいにくその日は仕事の日になっているのですが、こうしてその前に偶然にたどり着くことが出来ました。もう場所も分かったので、またいつでもしのびに行けます。
 夜ごはんの時、その話をしていたからかどうかわかりませんが、ご飯の後自分の部屋で邦ちゃんが爪弾くギターは
西岡たかしさんの「まぼろしの翼とともに」。何度となく昔から聞いていた曲なのに、今夜は聞き入ってしまいました。西岡さん、こんな歌若い時に作っていたんだ。今の平和なわたしたちのくらし、命を国のためにと捧げて旅立ってしまった人たちの上に成り立っている。慰霊祭が今年でなくなるのは、どこか寂しい。慰霊祭があることさへ知らなかった私が言うことではありませんが、時代が流れて命を落として行った人たちのことも風化されていくようで。
 また眼が冴えてしまったようです、深夜2時、お風呂入って寝なきゃ。今末っ子が起きてお風呂に入ったようなので、その後に。そして、呑気にベッドで横になるのです。こんな平和を感謝。