夕立
いつも通りに行かないことがあると、たちまちうろたえてしまう。
臨機応変が利かなくなっているのだろうか。
猛暑の所為ではない。
それにしても暑い日だ、毎日。
仕事から家に帰って、エアコンを付けるのに遠慮がなくなるこの夏だ。
疲れた体をせめては涼しい環境で休ませたい、なんという自己愛。
その次のアクションを起こすために、せめて安息の時間を。
なんて大げさだけど。
そんな時間が無いとやっていけないので、そうする。
そんなこと思って、この前は夜12時ごろ少し横になるつもりが朝の6時ごろまで眠ってしまっていた。
翌日が仕事のない日だと羽を伸ばしずぎるのだ。こんな時間も必要だとは感じるけど。
今夜もそうだ、明日は仕事が休み。
頭は明瞭ではないと感じながらも、こうして日記に向かってはいる。
窓を開けると月が浮かんでいる。
そう言えば先日、電気のついていない1階の和室に入ろうとしたら月明りでハッとした。ちょうどブルームーンの月だったのだ。
そこで置いたままにしてある洗濯物を畳もうとしたのだ。しばし、月明りに付き合っていた。心が安らぐのだ、月の輝きって。
そんな月を見て、ふと思い出すことがある。思い出・・。しばらくしてから電気をつけて洗濯物を畳んでいた。それが現実。浮かぶ月は、手の届かなくなった思い出。
先ほどまでつけていたエアコンで涼しかった夜中のリビングだけど、電源を消したら眠気も誘われるし体も重い感じだ。いっそ、窓を開け放したら涼しいのかもしれない。
夜中のラインメール。少し長い文にすぐ返事を送ったけど返ってこない。きっと、打つだけ打ってあとは見ないのだね。友達一人一人に個性が出る、メールだ。
稲光が見えた。
空がいきなり暗くなった。
雨粒が勢いよくフロントガラスに飛んできた。
この空の下から車を走らせて雨粒がたたきつける空の下へ。
夕立の後、打ち水をしたような街を抜ける。
街を遠ざかると、乾いた道路に蝉の声。
たったひと時の過ぎ去りし、時間。
今そこに居た、わたしとの、時間。