秋が来る

モロヘイヤのパン


 涼しいなぁと感じる日が少しずつあって、秋。
 ムラサキシキブの柔らかな紫色が現れました。
 シュウメイギクのまだ硬い蕾、これから始まる秋。

 雨だれを数えるように、静かな夜。
 窓は閉めていても開けていてもどちらも心地よく。
 こんな夜には、さんざめく日中のざわめきも遠いかなたになる。
 時を粉々にして、何のためにか使い切る切なさも見知らぬ出来事のよう。
 秋が来る・・
 また、秋が来るのです。
 

 夏の終わる頃になってゼリーを作り始めました。
 ぷるるん、のど越し爽やか。
 食べたいからと言うより、誰かが喜ぶから。
 いつも笑顔や温かさを思いながらこうして作る。
 性懲りもなく、何度も何度も嫌になってはまた繰り返す。
 気が付いたら、何かを作っている。心にいつも笑顔を浮かべては。

 プルマンを焼く隣でパウンドケーキを焼きました。 
 チョコのパウンドケーキ、これはあの人が好きだから・・
 また誰かの笑顔でわたしは動く。
 作っているのが幸せ。

 あんぱんをたくさん作りました。今夜は月に一度の緑区時代の友達との食事会の日。
 プレゼントに、彼女たちの喜ぶ顔を想像しながら。
 次に会う日を決めてからさよならするのだけど、来月はみんなが合う日が無くて、次の食事会は10月になりました。時だけは確実に来るものなのです。ひと月過ぎたわたしは、どんなわたしなんだろう。
 朝早い出勤の仕事、老健へ行くこと、日々の家事、雑多は用事、細々としたつまらない些細なこと、大事なこと、友達と会うこと、息抜きの寄り道、新聞を読んで考えること、観たいテレビの録画、何気ない繰り返しの中に、その向こうに見えてくるのが平穏な幸福なのだとは思いながら。