自家焙煎珈琲屋さんで

ブルーベリーブレッド

 傘を挿して歩く空の下、ほのかに金木犀の香りが雨と溶け合っていい感じです。さわやかな風と透明な空気もいいのですが、こんなしっとりとした秋の午後も悪くありません。紅葉しかけた木の葉も深まる秋を手招いているようです。そして、温かさも恋しくなるのです。暖かな服の準備もしなくちゃ。今朝は思いのほか肌寒くて、薄手の物を何枚か重ね着して出勤しました。つぎはぎだらけのミノムシのようです。

 仕事の帰り自家焙煎のコーヒー屋さんへ行きました。ランチタイムは過ぎていますが、コーヒーだけを。コーヒーを頼むとブレンドはマイルド、シティー、フレンチと3段階の煎りの濃さがあって、その日の気分で選びます。今日は「うーん、シティーを」朝刊を広げて目を通していると芳醇な香りが来ます。ほんとに美味しくてうっとり。カップに並々と注がれていて、その芳醇さが広がります。右手で持って、左手でソーサーも持って目を閉じて香りをいっぱい顔に近づけます。ほかの人が見るとちょっと変なおばさんかもしれません。香りを楽しんでから一口ゆっくりとかみしめながら喉の奥へ運びます。
 新聞に一通り目を通したぐらいな時に、マスターが焙煎をし始めました。今日は豆が切れたので買いに来たのですが、ちょうどよかった。「焙煎してるんですよね?この豆は何ですか?」「ペルーです」「これあとどれくらい掛かります?」「10分ぐらいですよ」「いいですか、200g買っても」
 モカを買って帰ることが多いのですが、今日はこれで。モカよりも少し焙煎が強くて、モカに比べると苦味がプラス甘味は少なく酸味はなくなります。香りはモカより少なくなります。わたしはトラジャが好きなんですが、このお店のトラジャは煎りが深くて苦味が強いので、やっぱりモカに決まることが多いのです。豆の産地と焙煎の度合いって、マスターの好みで変わるのかしら?
 例えばモカのローストを深くして香りも甘味も酸味もなくしたら、どんな味になるのかな、苦味だけ?豆と煎りの関係性がわたしにはまだわかりません。コーヒーの味もまた深し。