桜の花

ロールパン


 ぽつりぽつり雨が降る夜です。
 今日は車窓からあちらこちらで桜の花が咲きこぼれていました。
 この桜の木は愛知少年院のそばにある草薙特攻隊の慰霊碑のある所です。去年は最後の慰霊祭に来たのでした。ここで1年ぶりの桜を見ました。慰霊碑に手を合わせて、若くして国のためにと飛行機に乗り込んで行ってしまった方々のことを頭に浮かべていました。どうして行ってしまったの、掛け替えのない命を国のためだと信じて。
 この場所の桜もあちらこちらで咲いている桜の花も、全部が美しい。美しくて悲しい。悲しいから彼らに感謝したいと思う。特攻隊の彼らのことを思わなくても、忘れたとしても桜は美しいのだろうし、また必ず咲いてくれるのだろうけど、忘れてはいけないと思う。一年に一度咲く桜の花は、思い出すことを教えてくれる、そんな花なのかもしれません。今日は花弁が少し散り初めていました。春の風に舞う様子は、幸せそのもの。美しくて悲しくて、今の幸福をしみじみと感じさせてくれるのです。