今宵、月の光の下で

山型食パン


 走っている車の窓からは、いくらでもススキが見れるのに、いざ採るとなると、あれよあれよという間に走り過ぎてしまいます。やっと車を止める場所が確保できたこのススキです。普段はあまり気に留めることのないススキですが、お月見となると無くてはならないような存在になります。

 外のテーブルにススキを活けて、ウサギさんのお饅頭とコーヒーで。コーヒーは邦ちゃんが決めました。「ブラックコーヒーとお饅頭もいいかもね。」という事にして、コーヒーを淹れている間にすっかり邦ちゃんは眠ってしまいました。
 なので、昨夜は一人で少し肌寒い空の下、暖かなコーヒーで手を温めながらのお月見でした。きれいだったなぁ。たった一つだけの月をどれだけの人が見つめていたことでしょう。色んな人の所に心が行きながらそこに思いを馳せながら、暫し、ぼんやり眺めていました。悲しくないのに、頬を伝う涙の訳を知る人ぞ無し。なんちゃって。