山形食パン

山形食パン

 なんだか目が冴えていけません。
 私と夫、私とN君、私とJ、私とM。この狭いリビングで、それぞれ違う時間に向き合っているのだなぁ。
 夕食後、書くには恥ずかし過ぎるいさかいのあと、夜のドアを開けたら何だかほっとしていた。でも、言われるがままに私はスーパーへと買い物に行こうとしている。車の中で、奥歯をかみしめ過ぎているのに気が付いた。こんな風にしか対抗できないんだ、今だに夫には。こんな時には今までのいやなことばかり、目に浮かんでは消える。ひきつった顔で買い物に行くのはいやだなぁ。でもきっと、車のドアを開けたらサラっと違う顔の自分になっているんだろうな、と思ってもいる。だって悔しもの・・・こんなつまらないことで暗い目をしてしまうなんて。
 家に帰ってしばらくするとJが帰ってきた。彼の明るさは(私にはとても明るいのだ)ほっとするし、つい今しがたまでの気持の疲れはふっ飛んでいて、さっきまで沈んでいたハハのことなんて想像も出来ないだろうな。冗談ばかりを言い交わし合う底抜けな時間を持てるのだ。
 今度は、Mが帰ってきたようだな。「あー、お帰り!この前いつあったけぇ?」そんな会話だ(笑)。いや実際、仕事が詰まっている時は帰宅できないこともあり、特に今月は特別に超忙しいということだったので。
 お腹が空いているらしく、夜食に焼きそばを作ってやることに。珍しく「や〜疲れたー!!」を連発。これまた珍しいことに、近くのコンビニまで今飲むためのビールを買いに走って行った。仕事の納期が済んで、その達成感と言うか充実感に浸っているようだ。ビールを飲みながら、これまた珍しく職場の話をしてくれる。仕事はきついけど、好きだから出来るとか、この人だから付いていけると思えるような上司だと。同僚もほんとにいいメンバーがそろってるなぁ。と、ほんとにビールに酔ってるんだか何に酔ってるんだか・・。独りでひとしきり、職場環境に酔いしれた(笑)あと、この前亡くなった友人のことをぽつぽつと話しだした。
 いいよ・・聞いてあげるよ・・そんな感じで私はずーとキッチンに立ったままで、彼の病気のことやお通夜でのことや、彼が病気と闘っていたことや、いいやつだったと・・・
 このPCの前の窓の所に置いてある、Mも彼も含めて仲良しの4人が写ったフォトフレームに気が付いて、「あ、これ!まさかな・・・!」って言って、今まで話してた時に必死でこらえてた涙がどっとこみあげてきたのか、その場所で肩を震わせていたMだった。つい、私も我慢していた涙をMの背中を見ながら止めようとはしなかった。悲しいんだよこれは。悲しいものは悲しいよ!としか言えなくて。
 そのあと遅くにN君が帰ってきたようだな。お風呂の中にいる時、そんな物音がした。N君は出たり入ったりが多くて・・・。え〜?、待てよ・・、Jが帰る前に会ったな。彼の話はまたこんどにしよっ。