36年前

バースデーケーキ

 結婚して初めてのお正月、お節作りも本を見ながらちゃんと作らなきゃって、嬉々として取り掛かっていたあの頃、かれこれ36年前になります。鏡開きでは初めておぜんざいを作りました。たくさん出来て翌朝ごはんにも、お餅を焼いておぜんざい。そんな時に陣痛らしいのが来ました。初めての事なので、分かりませんが多分これが陣痛。なんかの本で勉強した通りの感じです。邦ちゃんは出勤前でしたので一緒に病院へと向かいました。内灘の県営住宅から金沢医科歯科大学付属病院まではアカシアの並木を通って行けば車でなら数分ぐらいだったかな。
 分娩室から見た窓の外の景色は忘れられません。雪がしんしんと静かに静かに降り続いていました。あれから、36年。36歳になった長男。1年に一度こうして思い出させてもらう日です。

 午前中にのんびりスポンジを焼きました。米粉ではなく小麦粉で、冷めてからはシロップもたっぷりと含ませました。平和なリビングでケーキを作れることの幸福をしみじみ感じます。

 いつも通り、ステーキとお赤飯のご飯の後にケーキを。邦ちゃんはお先に食べて、もうとっくに眠りについています。長男がケーキを食べるタイミングに私も合わせました。ご飯は邦ちゃんと一緒でケーキは長男と一緒にです。長男の隣に私じゃない誰かがいてくれる日が来てほしいなぁ、と内心。